モノラルトラックをパンで右か左に振ると、そのままだと音があまり前に出てきません。
そこで、パンを振ったモノラルトラックの音を、ディレイを使って前に出す方法を紹介したいと思います。
ディレイを使ってパンを振ったモノラルトラックの音を前に出す
では例を示して説明。まずはギターのモノラルトラックをパンで左に振ってみました。その音源がこちら
聴いてみるとまぁ普通というか、やはり音を左右に振ると、極端に言えば片方のスピーカーからしか音が出ないので、弱く感じるのですよね。
ちなみに、オーディオトラックの状態はこんな感じです。パンは左に75%くらい振ってます。
余談ですが、パンは最大値まで振り切らない方が良いかなと個人的には思います。振り切ってしまうとセンターや反対側の定位の音と分離しすぎて一体感が損なわれるのですよね。
で、話を戻して、ここでこの音を前に出すために、Busで送ってショートディレイ一発返しをかけて、それを反対側のパンで鳴らし、立体感を付けます。こうすることにより、反対側の定位でも音が鳴るので、楽器が前に出てくるのですね。
なお、センドの設定は「ポストパン」にしてあることをお忘れなく。
Bus (Aux) の設定
Bus (Aux) に挿すエフェクトは下の画像のようにします。理由は後述しますが、Busトラックはステレオに設定。
まず、ディレイにはLogic ProのTape Delayを使います。設定は下記のような感じ。
- Delay Time : 45.0ms
- Feedback : 0%
- High Cut : 5900Hz
- Low Cut : 390Hz
今回ソロで鳴らしてますが、オケの中だと設定値も変わってきます。だいたいの目安として考えてもらえたら。
また、Tape Delayに下に挿してるDirection Mixerの設定は下記のような感じ。
Directionを+180.0°にして、モノラルトラックと反対側のパンでディレイ音が鳴るようにします。これにより、例えばL-48のトラックからバスで送ったディレイ音はR48で鳴ります。
これで聴いてみると下の音源のようになります。
右側にわずかにディレイが加わり、音に立体感が付き前に出てきたかと。この例ではソロなのでディレイ音はモロ分かりやすいですが(汗)
コツとしては、ディレイはほんのわずかに聴こえる程度にしてください。オケとの兼ね合いもあるのですが、「言われてみるとディレイかかってる」くらいが良いです。
そのため、Tape Delayのハイカットとローカットで音を丸くして、目立たなくする処理も大事です。ディレイを目立たせてしまうと、ただ左右に音を広げただけで、パンをLかRに振った意味があまりなくなります (^^;)
また、Direction Mixerを使ったことにより、パンを振った別のモノラルトラックを前に出すのにこのBusを使い回せます(ハイカットとローカットの設定が同じで問題なければ)。
ギター以外にもパーカッションなどあらゆる楽器に使えるので、ぜひ試してみてください。
なお、この方法を使うとLRの空間をだいぶ使ってしまうため、前に出さなくて良いトラックは極力モノラルのままで定位させることをオススメします。
【著者:Mitchie M @_MitchieM】
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