Logic Pro純正コンプレッサーの、サーキット回路シミュレーションを変えると、音がどのように変わるのか波形を使って検証してみます。
この変化の傾向を知れば、ミックスでLogicコンプを使う時に、どのサーキットタイプを選べば良いかの参考になるかと思います。
サーキットタイプ別比較テスト
比較する音素材
まず、コンプする音の素材ですが、EXS24のサイン波を使います。これをディケイ短めにして、コンプするとどのように波形が変化するかを見てみます。
まずは使用する音源のEXS24。
そして作ったテスト音色がこちら。
頭の部分の波形を拡大。
サイン波なので、綺麗な波の形です。
サーキット回路によっては、アタックとリリース速めで倍音が付き、この波形が変形します。倍音の付き方については、こちらの記事を参考にしてもらえたら幸いです。
▼ 参考記事:
コンプレッサーの設定
この音を各サーキット回路別でコンプしてみます。コンプの設定は、
- アタック:1ms
- リリース:10ms
- レシオ:最大
- ニー:0
- スレッショルド:音を-10dBリダクションする値
- メイクアップ:ピークの音量がそれぞれのコンプで同じくらいになる値
という感じです。
では、どんな結果になったのか見て行きます。
試験結果
Platinum Digital
コンプした音はアタックが潰れないので、メイクアップで音量を上げられませんでした。
結構アタックがパツパツした音になり、コンプのアタックの値を0にしても頭は潰れないです。なので、ドラムなどの鋭いアタックを抑えるのには向いてません。
波形は倍音がほとんど付かないので、綺麗なサイン波です。
これらの事から、Platinum Digitalはスローアタックなパッド系の音を揃えるのに向いていると思います。
Studio VCA
コンプすると良い感じに音が潰れます。けどそれほど強くは潰れないです。
そして若干「ニー」を上げたようなかかり方がします。なので自然な感じで音を揃えるのに向いてます。
波形は少し変形しているで、頭に倍音が付加されているのがわかります。
メーターの振れ方が他のより小さいので、とても扱いやすいコンプです。
Studio FET
音の傾向としては、Studio VCAと似ています。けどコンプのかかり方はこちらの方が少し強いです。
倍音の付き方もStudio VCAとほぼ一緒です。
Studio VCAより少し強めのコンプ感がほしい時に使うと良いでしょう。
Classic VCA
これもPlatinum Digitalと同様に、アタックが潰れません。
Classic VCAはアタックとリリースが設定できない代わりに、無難なアタック、リリースタイムが設定されていて、不自然さのない波形になってる印象です。
サイン波も崩れてないので、倍音はほとんど付いていません。
Vintage VCA
これはかなり音が潰れます。今回の実験したサーキット回路の中で、一番音が変形すると言って良いです。
アタックはリミッター的に潰す事ができます。なので積極的に音作りをするのに向いているでしょう。
また、波形も変形して若干歪みっぽくなっています。アタック、リリースを速めで使えば、音に倍音が付いて勢いが出ますね。
ただゼロアタックで使うと、かなりノイズっぽい音が付加されるので注意です。
Vintage FET
コンプのかかり方や音の傾向は、Vintage FETに似てます。ただ倍音の付き方は、こちらの方がほんの少し弱い印象ですね。
Vintage VCAではコンプ感が強すぎる場合は、こちらを試してみると良いかも。
Vintage Opto
今回のようなアタック、リリースが速い設定では、あまりコンプされた感じはしません。頭が一瞬リダクションされている程度です。波形で見た場合、リリースを20ms以上にしないと、効果は分かりにくいと思います。
けど倍音の付き方は独特で、ノイズっぽい音が頭に付いていますね。
Vintage Optoは細かい音量のコントロールはできませんが、ビンテージコンプっぽい音にするのには向いてます。
まとめ
音の傾向の似たサーキット回路がいくつかあるので、全てのコンプを使いこなせる必要はないと思います。
パラメータによっても音は変わってくるので、とにかくいじりまくって音の傾向を把握するのが、Logicコンプを極める一番の近道なのではないでしょうか。
▼ 他にもこんなLogic純正コンプの記事を書いてます。
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【著者:Mitchie M @_MitchieM】
コメント
これは主になんの音に使うコンプレッサーなんですか?
ミクさん?
オケ?
ボーカルにも楽器にも何でも使えます!