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VOCALOID

VOCALOIDの歌声に合うリバーブはこういう音

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音楽制作の記事を読んでいると、時々「ボーカルにはプレート・リバーブが合う」というような文章を目にします。

なので「VOCALOIDの声にもプレート・リバーブが合うんだろう」と思ってプレート系を使います。するとイマイチ音の抜けが良くないのですよね・・・。特に音数の多いオケではボーカルが前に出てきません。

そういう事が多いので、自分はよくホール系のリバーブを使ってます。

自分なりの仮説として、VOCALOIDでプレート系があまり合わないのは「リバーブの音が中域に集中してて、かつ高域が出てないから抜けが悪くなるため」だと思っているのですが、実際スペアナを使ってそれを検証してみたいと思います。

ホール系とプレート系のリバーブ音の違いを検証

自分はLogic Pro付属の「Space Designer」をよく使用してます。理由は、使い慣れているので、音の傾向を把握できてるからです。それに軽いし。(^^;)

で、そのSpace Designerに、Logic付属のTest Oscillatorでホワイトノイズを入力して、音の傾向をスペアナで見てみます。

何もエフェクトをかけないホワイトノイズをスペアナで見るとこうなります。

フラットに音が出てますね。

で、まずはこれをホール系の音に入力して、それをスペアナで見てみます。リバーブに使ったのはSpace Designerの「Vocal Hall」というプリセット。

この周波数分布を見てみるとこんな感じです。

低いところから中高域までフラットに音が出てます。6kHzくらいでハイ落ちが始まってる感じです。

続いてプレート系です。Space Designerの「Vocal Plate」というプリセット。

こちらの周波数分布は・・・

2kHzを中心に盛り上げってますね。で、3.5kHzあたりからハイ落ちが始まってます。

ということで、VOCALOIDの声でプレート系は抜けが悪い理由を詳しく述べると以下のような感じです。

人間の声に比べ、VOCALOIDの声は高域があまり出てなくて、中域が結構出ている音です。なのでプレート系を使うと中域に音が集中してしまって抜けが悪くなるのかと。

そしてホール系に比べ高域があまり出てないので、音の抜けの良さに影響する高域が声に付加されず、歌が前に出て来ないのだと思います。

ちなみに自分の場合、リバーブの低域はミックス時にロパスフィルターでカットする事が多いので、低域については無視させてもらいます。

 
ここで、「それってLogicのリバーブの音だけがそういう傾向なんじゃない?」と思うかも知れないので、Native instrumentsの「Reflektor」で、ホール系とプレート系の周波数分布を見てみます。

まずはホール系。使ったプリセットはこちら。

この周波数分布はこちら。

20kHzまで音が伸びてますね!素晴らしい!!

そしてプレート系のプリセットはこちら。

周波数分布はこうなりました。

Logic Proのプレート・リバーブほどではありませんが、やはり中域が出ていて、3.5kHzあたりからハイ落ちが始まってます。

なので、プレート系の音は基本的には「中域寄りで、ハイ落ちの始まる周波数がホール系より低い」という傾向なのでしょう。

まとめ

以上の事をまとめると、VOCALOIDに合うリバーブは「ホール系のようにフラットに音が出ていて、高域がある程度伸びている音」というのが自分的な結論です。また、ルーム系も基本的には音がフラットに出ているので、響きが短くて良いならそれで大丈夫です。

なので、プレートを使ってもし声の抜けが悪かったら、ホールを試して見ることをオススメします。

もちろんボーカル・リバーブの選択は、オケの音数やミックスでの空間の使い方にも関わってきます。またリバーブ音をEQすることで問題を解決できる場合もあります。

音の好みも人それぞれなので、この記事に惑わされず色々と試してみてください。(^^;)

【著者:Mitchie M @_MitchieM

コメント

  1. 夢幻キリコ より:

    う~ん、奥が深い。
    素人の私にはなんのことやらさっぱりですが、きっとボカロPさんにとっては非常に興味深い記事なんでしょうねぇ。
    こんなの使いこなせてる人ってかっこいいです!

  2. まみりん より:

    Mitchieさんこんばんは(*^▽^*)

    その昔、七夕の日に提灯を持って『ローソク出せ~、出せ~よ~♪』なんて歌いながらよその家庭を回ってお菓子を貰うというハロウィンみたいな【ローソクもらい】をしていて歌の通りにローソクを出されたら内心がっかりしてたまみりんです!

    そんな七夕祭りネタは置いといて、

    ボーカルエフェクトもなかなか奥が深い。
    これが正解っていうのがなくて自分の耳で最適を探り当てる(*´ω`*)

    結局最後の一文に尽きますねw

  3. あゆみ より:

    お疲れ様です
    またしてもわかりやすい説明、
    さすがですね!
    (スペアナ画などはうれしい)