新曲『リングの熾天使』で大観衆の声を作るのに使用したプラグイン、QuikQuak「Crowd Chamber」。
これを使った観客の声の作り方を紹介したいと思います。実際に使用した楽曲の動画はこちらです。
大観衆の声の作り方
MVを観てもらえればわかりますが、この曲にはコールなどの「大観衆の声」が入ってます。ちなみに、ざわめき的な音はライブラリの素材を使ってます。
この観衆の声は、もちろん実際に大人数を集めて録音したのではなく、前述のQuikQuak「Crowd Chamber」というエフェクターを使って音を作りました。
けど、このエフェクターを使えば簡単に大観衆の声が作れるわけではないのですね。少々コツがいります。
その要点を以下にまとめてみるとこんな感じです。
- 合唱のように音程のあるものは、「shift」の幅を狭くする
- 「reverb」を上げすぎると何を言ってるのかわからなくなるので少し短めに
- リアルな人数感のある声を作るには3人くらい必要
以下でそれぞれについて詳しく解説していきます。
合唱の場合は「shift」の幅を狭くする
まず「Crowd Chamber」のGUIはこんな感じです。
画面左上の図が人数、ピッチ(縦軸)と左右の広がり(横軸)を示してます。最大で60人まで設定可能(「randomise」ボタンを押せばランダムで設定してくれます)。
ここに表示されてる各々に別々のピッチ、ディレイ、モジュレーション、パンをかけて人数感を出す仕組みです。意外と原始的。
よって、それらのパラメータをバラけさせれば人数感はある程度出ます!
ただ、ここで問題が。観衆の大合唱のような声を作る場合、あまりピッチをばらけさせると音程感がなくなるのですね。
そこで、自分は以下のような感じで、ピッチを狭めました。
これくらいにすると合唱でもピッチ感を保った声が作れます。
もちろんコールのような音程感のない声の場合は、ピッチの振れ幅を大きくとって大丈夫です。
「reverb」を上げすぎない
大観衆の声の「臨場感」については、ピッチやタイミングよりはリバーブの効果が重要になってきます。
で、「Crowd Chamber」にも画面右上に「reverb」のパラメータがあります。これを上げると会場での残響感が出て、音がリアルになります。
ただ「reverb」を上げすぎると言葉の明瞭さが失われるのですね。特に歌で言葉の感覚が狭かったりするとなおさら聴き取りにくくなります。
なので「Crowd Chamber」の「reverb」の設定は言葉を認識できるギリギリくらいまでに「size」の量を下げ、余韻を短く設定するのがオススメ。
最終的に空間の広がりや奥行きを出すための残響は、「Crowd Chamber」の音をAuxなどで送って、別のリバーブでつけたら良い感じに仕上がりました。
人数感を得るには3人くらい必要
「Crowd Chamber」は自分一人の声にエフェクトをかけても、最終的に自分の声の特徴だけがそのまま反映されてしまうので、あまり人数感が出ません。
で、色々試してみた結果、最低3人くらい人の声を混ぜたら良い感じになりました。
『リングの熾天使』では6トラックくらい混ぜましたね。
もちろん、エフェクターでフォルマントをいじって声質を変え、それを混ぜるのも良いです。けど、やはり別人の声が入った方がリアルになりましたね。
また、調声が上手ければボカロをって混ぜるのもアリです。自分はKAITOの声を薄く混ぜてました。
それと、異性の声を混ぜるのも良いです。男声の中に女性の声を混ぜたら、抜けが良くなり、声も聴き取りやすくなるでしょう。
実際に録音する人数が多いほどリアルさは出ますが、少人数で数千人くらいの観衆の声が作れるのが「Crowd Chamber」の便利なところですね!
また機会があれば、曲中で大観衆の声を使ってみたいと思います!
商品リンク
『リングの熾天使』は11月6日(水)発売となる、Mitchie M feat. 初音ミクの6年ぶり2ndアルバム『バーチャル・ポップスター』に収録されてます。
▼ 初回生産限定盤
▼ 通常盤
▼ アナログ盤(LPレコード)
Mitchie M のコメント:
意外とMVでの「大観衆の声」についての反響が多くて嬉しかったです!
【著者:Mitchie M @_MitchieM】
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