曲の調に合わせてドラムのピッチを合わせると、音をうまく馴染ませることができます。特にスネアはピッチが合ってないと気持ち悪いのですよね。
使用するスネアのピッチが偶然オケと合っていれば良いですが、そうでない場合はピッチを上下しなければいけません。
もちろんそうすることによってスネアの音自体も変わってしまうのです。
そこで、なるべく音を変えずに、スネアのピッチを変える方法を紹介したいと思います。
スネアのピッチを変えてみる
今回は例として、下の音源のスネアのピッチを変えてみます。
この音は、スペアナで見ると185Hzあたりにピークがあり、F#の音として感じるかと。
これを3半音上げてAのピッチに合わせたいと思います。
通常、この音をそのままピッチを上げてしまうと次のような音になります。
なんか音が少し軽くなったような・・・。というかピッチを上げると再生速度も速まるので、音が短くなるのですよね。
長さを変えずにピッチを変えることもできるのですが、結局音全体を上げてしまうので、少々不自然な音になってしまいます。
そこで自分はスネアの音を下記の3つに分け、それを同時に鳴らすことで、音をなるべく変えずにピッチだけを変える方法をとっています。
- 原音のアタック
- 原音のアタックと胴鳴りをカットした音
- ピッチシフトした胴鳴りの音
スネアのピッチ感って先ほどスペアナで見たように、胴鳴りの低い音で感じてるのですよね。
なのでここだけを変えて、その他は原音を使うということです。
音をなるべく変えずにピッチだけを変えるエディット
ではLogic Proを使ってその方法を説明します。
まず原音を3つのトラックに並べます。
で、一番上のトラックはアタック音だけを残し、他のトラックはアタックを除去。
アタックはピッチと関係ないノイズっぽい音なので、そのまま原音のものを使います。
次に、アタックを除去したトラックの一つのピッチを変えます。
F#からAにするので、トランスポーズで300セントをプラスします。Logic Proだと「Serato Pitch ’n Time LE」を持っていれば、高品質なピッチシフトができます。
▶︎ SOUNDHOUSE:SERATO ( セラート ) / Pitch n Time LE 3.0
このときエディットするオーディオは新規オーディオファイルに変換してください。でないと他のリージョンの音も変わってしまいます。
続いて、この音をEQでハイカットし胴鳴りのピーク音だけを残すようにします。
これで220Hzのラの音から下の帯域のみになりました。ちなみにEQは「Linear Phase EQ」を使用すると良いでしょう。
次に、アタックを除去したもう一つのトラックの胴鳴りをEQでローカットします。
カットする周波数はハイカットのと同じ数値(今回は316Hz)にすると良いでしょう。
これで胴鳴りより上の帯域の音が取り出せました。
で、最後にこの3つのトラックを同時に鳴らします。レベルオーバーする場合は、各トラックを同じ音量だけ下げてください。
あとはバウンスして1つのオーディオファイルにして、サンプラーなどで使いましょう。
その出来あがった音が下の音源です。比較のため原音、今回のエディット、普通のピッチシフトの順で鳴らしてみます。
胴鳴りのピッチだけが変わり、他の部分はそのままなのが分かって頂けましたでしょうか?
単独で聴くと地味な変化ではあるものの、スネアは重要な音なので、オケと混ざると効果の大きさが分かるかと思います。
参考になれば幸いです。
【著者:Mitchie M @_MitchieM】
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