トゥルーピーク(インターサンプルピーク)とは、デジタル音声をアナログ変換する際に、デジタルのデータ間を補完するために発生するピークのことです(合ってるかな?汗)。
▶︎ インターサンプルピーク:Inter Sample Peakとは | 偏ったDTM用語辞典 – DTM / MIDI 用語の意味・解説
ここではトゥルーピークについての細かい解説は省略させて頂きますが、つまりデジタルで0dBを越えてなくてもアナログにすると0dBを越えてしまうことがあるという事です
で、これを抑えるために、マキシマイザープラグインには「True Peak Detection」といった、トゥルーピーク用のリミッターが搭載されていたりします。
例えばLogic ProのAdLimiterは下の画像のような感じで「True Peak Detection」のスイッチがあります。
ちなみに、iZotope Ozoneでは「True Peak Limiting」という名前でボタンがありますね。
ただし、これをオンにしてしまうと曲の音圧も一緒に下がって少し音が変わってしまうのですね。
例えば、下の検出結果はAdLimiterの「True Peak Detection」をオフにした状態で書き出した音源のものです(曲は『大江戸ジュリアナイト』)。
ラウドネス値は-5.6LKFSと高いですが、トゥルーピークの最大値(Highest Reconstruction Peak Level)も3.4dBFSと高いです。
で、同じ曲で「True Peak Detection」をオンにして書き出してみます。すると・・・
ラウドネス値が1.0LKFSも下がってしまいました・・・。ただし、トゥルーピークはリミッティングが効いているので、0.1dBFSになってます。
そして波形を見てみると、やはり「True Peak Detection」をかけると少し音圧感のない感じになってしまってます。
「True Peak Detection」をオフにしていると、下の画像のようにパキッとした通称「太巻き」という状態になりますが、
「True Peak Detection」をオンにすると、縁のギザギザが多くなって音圧感が下がってしまうのですね・・・。
まあトゥルーピークの分だけ音量を下げるよりは良いですが。
このように「音圧は高くしたいけど、トゥルーピークは完全に抑えたい」というのはかなり難しいかと思われます。
音圧はなるべく保ってトゥルーピークを可能な範囲で抑える
なのでトゥルーピークについては制作者が「どれだけトゥルーピークを容認するか」という態度に関わってくるかと思います。
で、自分としては「少しくらいレベルオーバーして歪んでもいいんじゃない?」という態度です。まぁ音圧高めの曲を多く作ってるし、マスターが歪んでるヒップホップとか聴いて育ってるので。(^^;)
ってか最近までトゥルーピークはあまり気にしてませんでしたね(汗)この言葉もネット配信が盛んになってきた近年注目されるようになった感じですし。
ちなみに、私の1stアルバム『グレイテスト・アイドル』の各曲のトゥルーピークを調べた結果は、この記事に掲載してあります。
これを参考に、個人的には「音圧はなるべく保ちつつ、可能な範囲でトゥルーピークは抑える」という方向で行くことにしました。
そこで色々試してみて使ったのが、Nugen AudioのISL 2 STというトゥルーピーク・リミッターのプラグインです(モノ/ステレオ専用)。
トゥルーピーク・リミッター機能のあるプラグインはいくつかあるのですが、ISLはスレッショルドが+にも設定でき、トゥルーピークの最大値を決められるのが気に入り購入。例えば「トゥルーピークは+◯dBで抑える」といった事ができます。
ISLの細かい使用方法は省略させてもらいますが、色々と試した結果、True Peak Maxの値を0.89か0.90くらいにすると理想的な結果が得られました。
こうして書き出された音源の検出結果がこちらです。
ラウドネス値は-5.7と、トゥルーピーク・リミッティングなしの状態から0.1だけ下がりましたが、これくらいは許容範囲でしょう。
で、トゥルーピークに関しては1.8dBFSと、音圧を保ったまま1.6dB抑えることに成功。
もちろん波形は下の画像のように、太巻きでパキッとした音圧の高い状態です。
現状ではトゥルーピークは+2.0dB前後までは容認ですかね・・・。
ということで、これからはマスタリング時には最終段にISLを挿して使ってみたいと思います。
Mitchie M のコメント:
この程度のリミッティングでは音はほとんど変わりませんが、少しでも品質向上のために・・・(^^;)
【著者:Mitchie M @_MitchieM】
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