特定の帯域を抑えたりする目的で使う、Logic Pro付属マルチバンドコンプ「Multipressor」。
そのコンプのかかり方や音の傾向について調べてみたので、記事にしたいと思います。
Multipressorの音の傾向を調べる
まず、テストするための設定として、計測しやすいようMultipressorをマルチバンドではなくシングルバンドで使用します。
そしてコンプの設定は
- スレッショルド:-10dBリダクションするくらい
- レシオ:30(最大)
- Peak/RMS:0ms
- アタック:0.5ms
- リリース:10ms
で、出力した音が-3dBになるようアウトプットゲインを設定します。画像で示すとこんな感じ。
そしてテストする音は、EXS24で作ったディケイ短めのサイン波の音です。素の状態では下の画像のような波形です。
これに先ほどの設定のMultipressorをかけます。するとこうなりました。
特に音の前半部分が圧縮されているのがわかります。
ちなみに、バンド1と2,3,4は少しだけかかり方が違うようです。バンド2,3,4のいずれかをシングルバンドで使うと、下のようになりました。
頭の形が微妙に違いますね。
で、この素材だけだとコンプのかかり方を他と比較しづらいので、同じ音にCompressorのVintage FETをかけたものと比べてみます。
設定はMultipressorと同じに合わせました。
で、そのコンプをかけた波形がこちら。
Multipressorの波形と比べてみると、Multipressorの方が圧縮感は弱いですね。
ただ波形を見た感じでは、Multipressorのコンプのかかり始めはかなり速いのではないかと思います。
それと色々ためした結果、いわゆる「パツッ」としたアタック感を付けるには、リリースをそこそこ上げないと、そういう音にはならないようですね(たとえば100ms以上とか)。Releaseをある程度上げないと、Attackの値を上げても効果がわかりませんので注意が必要です。
印象としてはMultipressorのコンプは、結構独特なかかり方をします。
ちなみに下の画像は、アタック200ms、リリース220msの時の波形です。
頭の形がこうなるコンプってあまり見かけない気が・・・。
あと、コンプをかけたときの音色の変化も調べてみました。
Multipressorは大体同じ設定で、今度は1kHzのサイン波を入力してみます。
するとこんな感じ。
ほとんど変化がないように見えます。けど低いレベルまで見てみると、ノイズっぽい音が付加されているのがわかりました。
ただ、これくらいだと聴感上変化は感じないでしょう。
あとわかったことは、Peak/RMSの値を上げると倍音が付くことでしょうか。試しにPeak/RMSを40msに設定してみます。
で、これにサイン波を入力。
すると、3kHzと5kHzに倍音が付加されているのがわかります。
ただ、これもレベルは低いので、聴感上は変化はほとんどわからないでしょう。
ちなみに、Multipressorのクロスオーバーのスロープ特性は-6dB/octっぽいです。
まとめ
ということで、Multipressorの音の傾向をまとめてみると、こんな感じです。
- 音の潰れ方はそれほど強くない。
- 入力された音に対して、コンプはかなり速く反応する
- コンプした時の音色の変化は僅か。ただPeak/RMSの値を上げると、付加される音も変わってくる。
ということですが、今回のテストはシングルバンドでの使用です。マルチバンドで使うことを考えると、これくらいのコンプのかかり方がちょうど良いのだろうと予想してます。
とにかく、Multipressorは音色変化が少なくナチュラルな音なので、個人的には扱いやすくよく楽曲中で使用しています。
Mitchie M の最後に一言:
今回はテストで使ったけど、普通にシングルバンドで使うのもありかもね。
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【著者:Mitchie M @_MitchieM】
コメント
音作りは本当に奥深いですよねぇ。
音圧ってこうして高くなっていくんですね。
そして音圧も奥が深いのです。(^^;)