特にブラスの打ち込みでは必須とも言える奏法の「フォルテピアノクレッシェンド」。
擬音で表現すると「ファーァァアアン」ってやつです。
ブラスに限らずですが、ロングトーンをこの奏法を打ち込むと、だいぶ生っぽくなります。
そこで、自分がやってる「フォルテピアノクレッシェンド」の打ち込み方法を紹介したいと思います。
1. ボリュームを使う方法
まず初歩的な方法ですが、ボリュームのみを使った「フォルテピアノクレッシェンド」の打ち込み方です。
自分が打ち込む場合はこんなカーブを書いてます。
音量変化の大きさやカーブの具合は、音源や曲調によって変わってきます。なので、ここでは大体の形状を抑えておければ良いかと思います。
ポイントとしては
- フォルテからピアノへは速く音量を落とす
- ピアノからクレッシェンドは、ピアノの音量の「溜め」を長く作って、後半から終りにかけて音量の変化を大きくする
- 頭の音量は終りの音量よりも少し小さくする(音源のアタック感にもよる)
といったところです。
なお、最後の一番音量の大きくなる箇所は、ボリュームはノートの終わりより少し手前にしてもいいかも知れません。
そのあたりは音源の音色の傾向にもよるので、まずこの形をイメージして打ち込んで、細かく調整していくと良いでしょう。
2. ボリュームとフィルターを使う方法
上記のボリュームのみの方法だと、音質に変化がないので、どうしても打ち込みっぽさが出てしまいます。
そこで、ローパスフィルターも使って音質の変化もシミュレートします。
まずは音源のフィルターをオン。
フィルターのスロープは-12dBか、-18dBが良いかと思います。レゾナンスは0。
で、フィルターのカットオフのカーブ打ち込み方は、ボリュームのときと同じです。例えばこんな感じ。
音の終わりはフィルターが全開になるようにします。
で、最後にボリュームで音量を微調整。
手順としては、最初はボリュームはフラットのままでカットオフを打ち込み、最後にボリュームで音量感を整えると良いでしょう。
単純なロングトーンのサンプルでも、フィルターを組み合わせると結構良い感じになります。なので面倒くさがらず、フィルターとボリュームの両方を打ち込むことをオススメします。
3. その他
音源によっては、コントロールチェンジを使って、ロングトーンの強弱の音質を調節できるものがあります。
例えば自分が愛用している「VIENNA INSTRUMENTS」では「ベロシティ・クロスフェード」という機能が付いていて、音の強弱の違うサンプルを、コントロールチェンジを使ってスムーズに変化させることができます。
こういった機能を備えている音源であれば、フォルテピアノクレッシェンドもかなりリアルに鳴らせます。
でも変化のカーブの書き方は、基本的にはほぼ上記のものと同じです。
最後に
あと最後に注意ですが、トラックにコンプをかけている場合、音源の「エクスプレッション」でフォルテピアノクレッシェンドの音量変化を打ち込むと、コンプで音量が変わってしまいます。なので、音量の変化はトラックのボリュームで付けた方が良いです。
自分のイメージしているカーブが書けるよう、生の演奏を聴くのも大事です。音楽をたくさん聴きましょう。
Mitchie M の最後に一言:
フォルテピアノクレッシェンドのカーブは色々な楽器で応用できるよ。
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【著者:Mitchie M @_MitchieM】
コメント
Mitchieさんの調声技術は間違いなく日本一だと思うのですが、音作りにもこだわりがあるんですね。
あたりまえですが(^_^;)
Mitchieさんのすごいところは、ボカロの調声にしろ音作りにしろ、“完成形”がわかっていて作っているところだなって思います。
数多のPさんたちが手探りであーでもないこーでもないと試行錯誤暗中模索五里霧中しているところを、目的地が明確にわかって突き進んでる感じです(*^_^*)
卓越した技術力に裏打ちされたイメージ力とでも言いましょうか。
だからMitchieさんのことは心から尊敬してるんです^^
お褒めの言葉頂けて恐縮です!
まぁ結構仕事の数もこなしてるので・・・。(^^;)
マニアックなネタですが、需要があれば今後も記事にして行きたいですね。