一昨日、UTAUオンリーイベント「UTAU SQUARE(うたすく)」に行ってきました!
自分はUTAUユーザーではないのですが、UTAU界の凄腕調声師のみのがしさらんさんが、初の調声本『音楽的調声論』を出すということで、それが読みたくて買いに行ったわけです。
▶︎ 関連リンク:UTAUなど by みのがしさらん – ニコニコ動画
で、その本を購入して読んでみたら、内容が素晴らしく良かったので、この記事で紹介したいと思います。
UTAUオンリーイベント「うたすく」で本を購入
ということで、当日「うたすく」会場の、川崎市産業振興会館に到着。
会場の写真は人が写ってるので掲載しませんが、とても盛り上がってました!その雰囲気を見て、UTAUはファンとリスナーがシーンをしっかり支えてるんだなという印象を受けましたね。^^
で、今回の目的の本が売ってる「みのがしランド」のスペースへ。実は、著者のみのがしさらんさんとは、2013年のボーマスに参加したときにお会いしたことがあります。なので久々にご挨拶をさせてもらって本を購入。
その欲しかった本がこちらです!
『音楽的調声論』著・みのがしさらん
タイトルから難しそうな内容の本のような気がしますが、全18ページで要点がわかりやすく簡潔に書かれてるので、読みやすくて実用的。
しかも著者自身が「調声技術において一番要になるそして一番人に教えたくないことを全部書いたよ!」とTwitterでおっしゃってたように、非常に内容が濃く、1ランク上の調声を目指すための技術が惜しむことなくこの本に書かれてます!
自分の調声技術において一番要になるそして一番人に教えたくないことを全部書いたよ!買ってね! https://t.co/KAov2Ud1pC
— みのがしさらん/うたすくA12調声本 (@minogasi)
そんな『音楽的調声論』は3章で構成されていて、内容は以下のようになってます。
- 第1章 基本的な考え方
- 第2章 ピッチベンドの形状
- 第3章 実践
さすがに本の詳しい内容はここでは書けないので、それぞれの章の概要を簡単に紹介したいと思います。
第1章 基本的な考え方
ここでは著者が考える、基本的な調声の考え方が書かれてます。
技術的な事ではなく、これから調声方法を解説するにあたっての、準備的な事がメインです。特に第3章の実践で書かれている内容と深く関わってきます。なのでしっかり著者の考え方は抑えておきたいところです。
そして、本のタイトルに「音楽的」という言葉が入ってるように、「音楽的解釈を調声に反映させる」という意図がこの章に書かれてます。
第2章 ピッチベンドの形状
個人的に「この本よく出来てるな!」と思ったのが、この第2章の「ピッチベンドの形状」です。タイトル通り、歌声のピッチラインに見られるピッチの形状について、わかりやすくまとめられてます。
感情のこもった歌声のピッチを書くのに最重要なのは、まず言葉の頭部分、次に語尾といった感じだと個人的には思ってます。で、実はそのピッチ形状ってある程度決まっているのですね。
そこで、この章には
- 頭のピッチの形状10種類
- 語尾のピッチの形状4種類
- 頭と語尾を組み合わせたピッチの形状1種類
の計15種類が紹介されてます。
そして、それぞれの形状について説明文で「この形状はこういうときに使う」という事が書かれています。なのでこれが解れば、あとは自分の好みでピッチの変化量を変えて、自分の調声に適用すれば良いだけです。ここを読めばかなり即戦力になるのではないかと思います!
自分の知る限りでは、これほどうまくピッチ形状をまとめて解説した文献はないので、この本は貴重です!個人的には「よくまとめてくれました!」という思いです。
で、これを踏まえて次の章へ。
第3章 実践
ここでは実際の曲の中で、第2章で紹介したピッチ形状を、どのように使っているのかを解説。著者のTweetに少し見本が載ってます。
うたすくのおしながきと、本文のチラ見せ画像(?)を作りました。表紙イラストはなんと「ンメイ」さんです!そして、buzzGさんの楽曲「レプリカント」の波音リツ調声例を解説していきます!みのがしランドのみのがしさらんです。A-12です。よろしくお願いします。 #UTAU_SQUARE pic.twitter.com/gkKazQXwtJ
— みのがしさらん/うたすくA12調声本 (@minogasi)
使用する楽曲はbuzz Gさんの「レプリカント」。使用する音源は「波音リツ キレ音源」です。
で、この楽曲の音源は既に動画で公開されており、ustファイルも公開されてます(動画の説明文にリンクあり)。こちら!
とてもエモーショナルな歌声の調声ですね!
本書ではこの調声データと共に「なぜそのピッチ形状を、歌のこの部分で使ったのか」という解説が書かれてるのが特徴です。これは第1章で述べた「音楽的解釈」を調声に用いてるから説明が可能なのですね。なので読者も納得して調声の解説を読むことができます。
また、解説のところどころに重要なアドバイスが散りばめられてるので、読み応えありましたね。
完成した音源、ustのデータ、この『音楽的調声論』の3つを照らし合わせながら勉強すれば、技術力向上のきっかけになるのではないかと思います。
まとめ
歌声のピッチ変化って、本当一瞬の出来事です。なので調声時の細かいピッチ変化については、今まで誰もあまり論じてなかった分野でもあるのですね。
それに自分が調声した歌声について「なんでそういう歌い方にしたんですか?」とか人に聞かれても理由なんてわからない場合が多いのです。(^^;)
しかし、今回それを理論的にわかりやすく解説してまとめた『音楽的調声論』は、この分野の本として重要な一冊だと思ってます。
中・上級は向けの本ではあるのですが、調声に興味のある方は、ぜひ一度読んでおくことをオススメしたいです!VOCALOIDユーザーが読んでも参考になります。
ちなみに、この本は今回の「UTAU SQUARE」のみでの販売でした。好評ですぐ完売になったようなので、再販を期待したいですね!
Mitchie M の最後に一言:
自分の歌のピッチが見れる環境があれば、ボーカリストが読んでも参考になると思うよ。
【著者:Mitchie M @_MitchieM】
コメント
そして初音ミクの調声教本を、Mitchieさんが書くと・・・なるほど!ヾ(゚Д゚ )ォィォィ
Mitchieさんが感心するぐらいですから、きっとVOCALOIDの調声にも通じるところがあるのでしょうね(^^)
基本的なところはVOCALOIDと同じですね。^^
わかりやすく書かれてて、本当感心しました!