初音ミクの声を上手くミックスする方法。チューブ・サチュレーション編

前々回、オーバードライブによる歪みで倍音を付加すると、音が太くなり楽器の音が前に出てくるという事を書きました。

▶︎ 参考記事:Logic Pro付属エフェクト「Overdrive」の使えるプリセット

もちろんこれはボーカルにも当てはまります。そこで今回、ミックスで初音ミクの声に倍音を付加し、うまくミックスする方法について書きたいと思います。

ミクに限らずVOCALOIDはその仕組み上の関係で、人間の声に比べて倍音が少なくなるらしいです。なので倍音を付加する事によって、声がほんの少しですが生の声に近づきます。

自分が調声を担当させてもらった、安室奈美恵 × 初音ミクコラボ曲「B Who I Want 2 B feat. Hatsune Miku」でミックスを手がけた、日本を代表するエンジニアのD.O.I.さんも、サンレコのインタビューで、

「Vocaloidに限らずボーカルの倍音成分をもっと追い込まなければいけない」「ミクの声はビンテージ・コンプを通して倍音を付加しました」といったような事をおっしゃっております。

興味のある方はサンレコ2015年9月号に掲載している、このインタビューを読んでみてください。


で、ボーカルに倍音を付加する場合、ビンテージ機材にいちいち通しては大変なので、それをシミュレートしたソフトウェアで処理するのが一般的です。ボーカルの場合、真空管による歪み(チューブ・サチュレーション)を使う方法がメジャーなので、それを解説していきます。

ソフトウェによるチューブ・サチュレーション倍音の付き方を見てみる

倍音の加わり方はソフトによってそれぞれ違うのですね。それがそのソフトの音のキャラを決定しているわけですが、どんな感じで倍音が付加されるのかをLogic Proのアナライザーで見ていこうと思います。

さすがに初音ミクの声を周波数解析して見ても、どのように倍音が付加されているのか、周波数分布が複雑すぎて分かりにくいので、今回もサイン波を使って見てみます。

まずはiZotope OzoneHarmonic Exciter

これは結構前にサンレコの「ミックス解剖学」の記事で、海外のエンジニアがチューブサチュレーションとしてかけているのを見たので、自分も「ぶれないアイで」でやってみました。(^^;)

ではまず、Logic Pro付属のTest Oscillatorの1kHzのサイン波を見てみます。

Logic Pro テストオシレータ サイン波

1kH以外には何もありません。

そしてこれに、OzoneのHarmonic Exciterをかけます。チャンネルを1バンドにして、MODEは”Tube”を選択。

 Izotope harmonicen exciter

で、Amt(アマウント)は0.5。ボーカルで使用する場合、上げすぎると音の歪みが目立つので、1〜5%くらいの少量が良いです。

そしてエフェクトON。サイン波がこんな感じになります。

iZOtepe Ozone Harmonic Enhancer

主に2kHz,3kHz,5kHzが上がってるのがわかります。他の帯域も付加されているのですが、音が小さくて見えてないだけです。

こんな風にVOCALOIDの声にかけても、倍音を付け加えることができ、声質が少し豊かになるのです。わずかではありますが・・・。

そして微小な歪みが加わることでコンプ感も出て音が前に出てきます。音圧の高いオケの中で埋もれないようにするには有効です。

ただ、バラードのような声が特に目立つ曲では、チューブサチュレーションを加えることによって、声の歪みが目立つ箇所も出てくる可能性があるので、そこはオートメーションで抑えるなり対処が必要。

で、メインのボーカルトラックにはできるだけチューブ・サチュレーションをかけたいところですが、トラックス数を使うのでソフトは軽いのが良いですよね。

そこで個人的にオススメなのが、AntaresAVOX WARMです。

antares avox warm

これはボーカル用チューブモデリング・エフェクトなのでVOCALOIDにも良いかと。

倍音の出方を先ほどのサイン波で見てみます。 

antares Avox warm sine wave

Ozoneに比べたら自然な感じかな・・・?このようにソフトによって倍音の付き方が違うのですね。

VOCALOIDで使用する場合Driveの値は、これも声が歪みっぽくならないよう、0.1から0.5の範囲で調整すれば良いかと思います。

ちなみに隠し味程度なので、あまり大きな変化は期待しないように。(^^;)

Antares Vocal Processing > Products > WARM

 

まとめ

倍音の付加はプラグインを挿すだけなので難しくはないですが、VOCALOIDの場合ミックスで音を作るより、VOCALOID Editor上できちんと 声を作っておく事の方が重要です。まずそれをきちんと詰めるようにしましょう。

どの使い方が正解ということはないので、この記事がVOCALOIDの声作りの参考になれば幸いです。


あと最後に宣伝ですがすいません。こんな方法でミックスしている自分の楽曲を収録した新譜のCDを、12月31日の冬コミ(C89)で頒布致します。

配置は東キ44aですので、興味があったらぜひお越し頂ければ幸いです。詳細はこちら。

▶︎ 【特報】冬コミ(C89)に参加決定!新譜をリリースします!!

▶︎ コミケ(C89)でリリースする新譜ボカロCDの最新情報 (1)

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コメント

  1. 夢幻キリコ より:

    倍音って大事ですよね。
    自分は一応楽典知識はあるので、今回の記事は理解できました。
    そんなソフトがあるとは。
    ほんと奥深いです。
    頒布CDほしい!
    通販しますか?

  2. poco より:

    お疲れ様です!!

    やっぱ、Tube っていいんですねえ・・・ 実際は交換パーツがもう無かったりとかいろいろ面倒ですがw  

    これならそうゆう心配なく使えますもんね。いいなあ、これ。

    部屋に真空管ダメになったツインリバーブありますwww 直しますw

  3. まみりん より:

    Mitchieさんおはようございます(*^▽^*)

    サチュレーションと聞いてバイタルサインを思い出したまみりんです(笑)

    それはさておき、
    このような【調声のアメイジングマジシャン】Mitchieさんの種明かし記事を参考にして素晴らしいボカロPが出て来ることを望んでいます♪

    もちろんMitchieさんの新譜も楽しみに待ってます(*≧∀≦*)wktk